歩いたり食べたり撮ったり座ったり

カメラを持って歩くのが好きです。

千年の記憶

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千年の記憶/島根県津和野町鷲原八幡宮

RICOH  GRⅢ

 

雨の予報だった土曜日、天気が悪いならとゆっくり寝坊して、そろそろ昼ご飯という時間に目が覚めると外には青空が広がっていた。休日に天気が良ければ僕はだいたい機嫌がいい。朝寝坊で遊ぶ時間が半日になったのは少し残念だが、長年生きているとそういうときにはどんな遊び方をすれば満足できるかということぐらい幾つでも思いつくものだ。行きたいところリストの中から半日で回れるコースを1つ選んでいそいそと支度をする。僕にとって重要なのはどのカメラを持っていくか?鞄はどれにするか?ぐらいなものだが、妻の最重要事項は何を着て行くか?夫に何を着せて出かけるか?ということで、これが自分の考え通りに決まれば、その日のお出かけの楽しさは保証されたも同然なのだ。

外に出てちょっとした用事を済ませたら、りんご園が盛りを迎えている高原の町で寄り道をしてアップルパイとりんごジュースを買った。夜の楽しみを確保してから県境を越えて山陰の小京都、津和野の町へ下りる。町外れの八幡様に大きな杉の御神木があるというので、その木に逢いに行こうという魂胆だ。

歴史のありそうな八幡様に着いて社殿の横からちょっとした山道を辿る。5分も歩かないうちに目の前に現れた巨樹は御神木と呼ばれるにふさわしい風格を備えてそこにあった。説明書きには樹齢千年以上云々の文字が見える。千年を超す歴史の記憶がこの木にはあるというのか…。立ち姿を見上げると威厳と風格はもちろんだが、それ以上に抱きつきたくなるような懐の深い優しさを感じることができた。この国の神はいろいろな物に宿っている。物は岩であったり山であったり、あるいは木であったり…。そんなものに触れて神を感じ心の安寧を得る、そんな休日もいいものだ。ついでにカメラ遊びなどできればいうことがない。