歩いたり食べたり撮ったり座ったり

カメラを持って歩くのが好きです。

阿羅漢さま

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阿羅漢さま/山口県長門市湯本大寧寺

OLYMPUS OM-D E-M1

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100 F4.0PRO

 

大寧寺の寺内で川沿いの部分には特に紅葉のきれいな場所があって、そこにはたくさんの石仏が座っている。説明書きによると釈迦三尊と十六羅漢像ということらしい。羅漢は阿羅漢というのが正式な呼び名らしく、アラ還という言葉に敏感になってきた、というか、アラ還そのものの僕にとって阿羅漢さまが真っ赤な紅葉を背負って座っている様は何とも気にかかる存在なのである。別にそんなふうに駄洒落て笑いたかったわけではない。長年の風雪に耐えて半ば岩や苔の一部のようにその場所に馴染んだ石仏は、それだけで晩秋の風景としてカメラに収めるのには絶好の対象なのだ。阿羅漢さまとはお釈迦さまの弟子の中でも最も位の高い高僧に与えられる称号であるらしいが、けっこうくだけた格好の阿羅漢さまもいて興味深い。その中でも特に眉毛と顎ひげの濃いこの阿羅漢さまは、実は親しい友達と雰囲気がすごく似ていて勝手な親近感を感じているのだ。五百羅漢というのも各地で見かける機会がけっこうあるけれど、この500人の中には必ず会いたい人と似た顔の羅漢さまが居られるらしく、そんな顔を探してみたり、友に似た羅漢さまに親近感を持ったりすることは、たぶん無意識な信仰心ではないかと思う。アラ還と呼ばれる年頃を迎え、会いたくとも会えない人が少しずつ増えてきた。でもそんな人が案外こんなところに座っていて会いに来るのを待っているのかもしれないなどと独りごちた秋の休日なのだった。