光の森

光の森/東京　カレッタ汐留

SONY RX100M5

2年前の今日…、出張で東京にいた僕はゆりかもめの中から見たクリスマスイルミネーションを間近に見たくなって慣れない都会の道を歩いていた。そこに見える場所なのになかなか辿り着けない、田舎では考えられない都会の光の森に迷い込んで僕はしばらく途方に暮れて座り込んでしまった。

覚えている限りでは25年ぶりくらいに見る首都の夜は、普段見慣れた景色が二次元に思えるほど立体的で明るくて、でもとても寂しさを感じる場所だった。僕は光に導かれた小さな虫のようにふらふらと歩いた。立ち止まって見上げると天を衝くような高層ビルの合間に小さな闇が見えた。そこには無数の星があるはずの小さな闇が見えた。やがて僕は見たかった光の森の入口に着いた。おとぎの国の景色のようなイルミネーションの森が音に合わせて揺れている。大都会の夜、1人で見たクリスマスイルミネーションは夢幻のように僕の記憶の片隅にある。

次の日、飛行機の待ち時間に街を歩き、お茶の水の楽器屋街で出会って連れて帰った赤いギターが、今、目の前の壁に掛かっている。

2年前に見たクリスマスイルミネーションは今年は中止になったそうだ。

早くこの禍が終息することを心から願う。