歩いたり食べたり撮ったり座ったり

カメラを持って歩くのが好きです。

無人の庭のオブジェ

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無人の庭のオブジェ

RICOH  GRⅢ

 

四国へ渡る船の上でこの日記を書いている。

もう何年も前から空き家になっている実家を片付けるために、移動自粛が少し緩んだ夏からこれで3回目の帰省だ。少し寒さを感じるぐらいの気候になってきたので、暑い頃には手を出せなかった庭の手入れをするつもりだ。

植物の世界にも弱肉強食があるのか、人が手を入れなくなってしまった庭は無秩序な野生に返りつつある。そんな中、もうずいぶんと長い間本来の使い方をされていない物干し竿の支柱は根元にあるはずのコンクリートの台座が草に覆われて錆びた鉄製の柱を蔓状の草が上り始めた。ただ、その草がまったくの雑草には見えず、かつてはこの庭の景観の一部だっただろうと思われる種のようなので、遊び心として記念に残しておこうと思っている。

僕が中学生のときに父が建てた小さな平屋…。歴史のある古民家というわけでもなく、今ではどこにでもあるような空き家だけれど、父と母が人生の後ろの半分をここで暮らし、年に一度か二度は僕もここに帰っていた。そこにあった物干しに蔓が絡みついただけの無人の庭のオブジェ…。この後どんな形になっていくのか、少しだけ手入れをしながら見守っていこうと思っている。