漆黒に浮かぶ

漆黒に浮かぶ/下関市リフレッシュパーク豊浦

OLYMPUS OM-D E-M1

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150 F2.8PRO

毎年コスモスの咲く頃に訪れる公園がある。時季がくれば盛大にコスモスまつりが催されるのだが、今年はコロナ禍で中止となった。それでも花は当たり前のように咲くわけで、まつりの時ほどにはないにせよ、この日もけっこうな人出で賑わっていた。

コスモス畑でひと通り撮影を終えて遊具があるエリアを歩いていると、季節の主役をコスモスに譲ったばかりの彼岸花がひっそりと漆黒の中に浮かんでいるのが見えた。今年も何度か彼岸花を撮りに出かけたが、毎年この赤の発色に苦労する。僕のカメラは赤が朱色に転ぶ癖がある。和風の花といっては語弊があるかもしれないけれど、彼岸花の赤、あるいは藪椿の赤を表現するのが苦手な感じがする。椿と同じような花でも山茶花の色はわりと忠実に再現するようだ。

漆黒の闇は最初からそこにあるわけではなく、彼岸花の赤を見た目に近づくようにマイナス補正を加えた結果なのだった。光を絞り込むことによって妖艶さを増す彼岸花の赤、カメラマンの心を悩ませる彩りなのである。