明日に向かって
RICOH GRⅢ
年末、強い寒波が来る前に、お気に入りの散歩道である秋吉台の草原を歩いた。出発が遅くなって長者森の駐車場に着いたときには午後2時を過ぎていて、おまけにさらさらと雪まで舞いはじめた中、いそいそと靴を履き替えて歩き始める。
枯れ色の草原は色彩も乏しく、陽の光よりも雲のほうが勢力を持つ冬独特の陰気な空が覆い被さっていた。他に歩く人も見かけず、夫婦二人で目指す小さなピークにたどり着いてお茶を一杯飲んだら暗くならないうちにと帰り道を急ぐ。するとようやく厚い雲の壁を突き抜けた夕陽の光が射し始めて、一筋だった光が徐々に広がり始め、見る間に草原を黄金色に塗り替えていった。道に沿って続いているススキの穂は銀色に輝いて滑走路の誘導灯のように行く道を示して僕たちを誘なう。社会的にも個人的にも暗い話題が多かった2020年の終わりにここで見た光の景に僕は一縷の希望を見いだす…。目標は遠い未来でなくてもいい、ただ明日に向かって進み、毎日それを繰り返し、楽しく一所懸命に歩いていこうと…。
あけましておめでとうございます。
2021年 元旦
