歩いたり食べたり撮ったり座ったり

カメラを持って歩くのが好きです。

晩秋の虚構

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晩秋の虚構/山口市徳地町重源の郷

OLYMPUS OM-D E-M1

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150 F2.8PRO

 

秋も深まり…、僕たちアマチュアカメラマンにとっては春の桜の季節と並んで楽しみにしている紅葉の時季がそろそろ最盛期を迎える。当たり前なことだけど美しい風景を見るためには気候や場所などいろいろな条件から予想して一番いい時季に名所を訪れることが肝要なのだが、この予想がなかなか難しい。その上、待ちきれずにそわそわしてしまう性格も災いして残念ながら見頃を外してしまうことも多いというわけだ。今年は大きな台風が何度か近くを通ったことで塩害の懸念もある。そんな中で今シーズン初めて出かけた重源の郷は、なかなかきれいな紅葉が見られて嬉しいお出かけとなった。ただし、いつもは数台しか停まっていない駐車場からクルマが溢れ出るほどの人出だったというオマケも付いていた。そんな人出の中でファインダーを覗き、構図を考え、モデルを煽てて撮影をするのだが、そこそこ風景も撮りたいし、お気に入りのおもちゃは全部使って遊びたいものだからなかなかに忙しい。

そんなふうに望遠レンズを振り回して乱撮りしていると、小さな川の澱みに散りモミジの葉っぱが浮いたり沈んだりしているのが見えた。景色を見たとおりに写す標準画角と違って望遠レンズが写しだす絵はある意味虚構と言っても過言ではない。この日はサーキュラーPLフィルターを忘れて、毎年恒例の池の鯉を撮るのを諦めたのだが、水面反射は消すべきという思い込みをなくすと意外にも面白い絵が撮れたりもする。写真は必ずしも真実を写すものではなく、目に見えたものがそのまま絵になるものでもないというのが醍醐味だけど、おもしろいのが撮れたなぁと思う絵は偶然の産物であることがほとんどだ。狙っても撮れないところが悔しいところであり、またやめられないところでもあるというわけだ。